【2022~2023年版】訪問診療の料金はどれくらい?出来るだけ分かりやすく解説

医療とお金

訪問診療を利用する時に、気になることのひとつは費用のことだと思います。言うまでもなく保険診療になりますので、国によって定められたルールに従い金額が決まります。

訪問診療は通常の外来と異なり、月額で請求があります。後述するようにさまざまな条件で大きく料金が変わりますので結構複雑です。しかし、ざっくりしたイメージは持っていただけると思いますし、なぜその料金になるのかも分かりやすくお伝えします。

以下を理解するためにまず、保険点数について説明します。1点=10円です。たとえば1000点であれば通常発生する医療費は10000円ですが、患者さんの自己負担額は1割負担の方で1000円、2割なら2000円、3割負担の方で3000円です。

さて、訪問診療の料金の話に戻ります。当クリニックの場合ですが定期訪問が月1回では、平均すればだいたい月4000点になっていますので、医療保険の負担割合が1割負担の方で月4000円(2割負担では8000円、3割負担の場合12000円)くらいです。

月2回の場合は、単純に倍にはなりませんが7000点くらいですので1割負担で月7000円(2割負担で14000円、3割負担では21000円)程度になります。以下、少し詳しくお話します。

往診のイラスト
目次

内訳は基本医療費と追加医療費に分かれる

スマホや電気代をイメージしていただくと分かりやすいですが、訪問診療の医療費にも毎月発生する基本料金に該当する金額があります。これに加え、行った医療行為などによって追加で費用が発生することになります。

まず基本医療費に含まれるのは、訪問診療にかかる診察料(833点/回)。これと在宅時医学総合管理料(正確な表現ではないですが簡単に言うと24時間365日対応する費用)になります。在宅時医学総合管理料は長いので以下「在医総管」と略します。

実は、在医総管もクリニックの体制、一か所で診る患者さんの人数などで結構異なります。施設では施設入居時等医学総合管理料と名称も変わり、金額もだいぶ違います(施設のほうがずっと安いです)。

在医総では、多くの患者さんでは(2022年10月現在当クリニックの場合)在医総管は月1回で2520点、月2回以上で4100点です。

基本医療費は、往診料833円+在医総管。
月1回では833点+2520点=3353点
月2回では833×2回=1666円点+4100点=5766点

ただ、後述するように色々な追加の医療費が発生するのが普通なので、この基本医療費だけで決まることは稀です

追加でかかる医療費について

実にさまざまな追加医療費があります。

検査料
注射・点滴代
処置代
電話再診
往診
書類作成費(訪問看護指示書・診療情報提供書など)
その他管理料・加算

これらが基本医療費に追加されていきます。高額なものでは、ある種の注射、往診代、管理料・加算などで場合によっては何千点にもなる場合があります。

例えば臨時の往診料。クリニックの診療時間内では1回720点ですが、時間外では2220点、22時~朝の6時は3220点という具合です(2022年10月現在。クリニックの体制により多少異なる場合があります)。

注射器を準備する医師

自己負担限度額について

医療保険には月々の医療費の限度額があって、自己負担率が1~2割の場合18000円/月が上限となります(ただし、入院費は除く)。

つまり、訪問診療の追加医療費が重なり高額になった場合でも、月に18000円を超えることはありません。極端な話、医者が毎日往診して毎日点滴しても月の自己負担額は月18000円までです(まぁ普通そんなことはあり得ないですが)。

なお、医療費は複数のクリニックや病院で診察を受け合計が18000点を超えた場合、それぞれの窓口では負担額を支払う必要がありますが、最終的に医療費を合算し18000円を超えた医療費は返って来ます。

例えばAクリニックで10000円の自己負担があり、Bクリニックで7000円、Cクリニックでも9000円を支払ったとします。この場合、合計の医療費の自己負担額は26000円になりますが、18000円を超えた残りの部分の8000円は後日市区町村から払い戻しがあります。

※ただし、3割負担の患者さんでは自己負担限度額は80100円以上で、所得により限度額は変わります。

まとめ

訪問診療は、このようにさまざまな条件で料金が大きく変わります。ここにお書きした条件以外にも医療券をお持ちの場合や低所得者などの条件で医療費は変わりますので事前に正確な金額をお伝えするのはなかなか難しいです。

ただ、安定した患者さんの場合は月1回で3500~4000点くらい、月2回で6500~7000点くらいが多いです。

高額な治療、往診、在宅酸素の管理料などがかかる方は医療費は高額になりますが自己負担には限度額があります。

だいたいのイメージが伝われば幸いです。詳しくは訪問診療を行っているクリニックで直接お聞き下さい。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

元ホスピス勤務医、総合内科専門医。2013年7月大田区久が原に「小原りぼんクリニック」を開業。緩和ケアと認知症診療、訪問診療をライフワークにしています。介護は、まずは家族を支えなければ始まらないをモットーに、対話を重視する診療を心がけています。

コメント

コメントする

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

目次